Data Modeling Guide

なぜ、AI活用の前に
データモデリングが重要なのか

Excel、台帳、システム、担当者の頭の中に散らばった情報を、仕事で使える「事業の地図」に変える。データモデリング・業務モデリングの考え方を、できるだけ平易に解説します。

データモデリングとは、業務を「地図」にすること

データモデリングとは、難しいシステム用語ではありません。会社の中にある「顧客」「案件」「商品」「請求」「問い合わせ」などを整理し、それぞれがどう関係しているかを見える形にすることです。

多くの会社では、同じ仕事に関する情報がExcel、販売管理システム、会計ソフト、メール、紙の帳票、担当者の記憶に分かれて存在しています。情報はあるのに、つながりが見えない。これが、業務改善やAI活用が止まりやすい大きな理由です。

データモデリングは、
バラバラの情報を「仕事で使える言葉」と「関係性」で整理することです。
図解:システムの言葉を、業務の言葉に翻訳する
T_SALES_01
Customer_ID
案件一覧.xlsx
請求メモ
顧客
案件
商品
請求

大事なのは「表をきれいにすること」ではなく「関係を決めること」

Excelの列名を整えたり、システムの項目名をわかりやすくしたりすることも大切です。しかし、それだけでは十分ではありません。もっと重要なのは、情報同士の関係を明らかにすることです。

たとえば「顧客」「案件」「商品」「請求」がある場合、単語を並べるだけでは業務は見えません。「顧客が案件を持つ」「案件に商品が紐づく」「案件から請求が発生する」という関係まで整理して、初めて仕事の流れが見えてきます。

図解:データ同士の関係が見えると、業務の流れが見える
顧客会社名、担当者、契約条件
案件を持つ
案件進捗、納期、担当者、見積
商品・作業が紐づく
請求請求日、金額、入金状況
案件から発生する
モデリング前
Excelやシステムごとに情報が分かれている。担当者は経験でつないでいるが、他の人には関係が見えない。AIに読ませても、何をどう判断すればよいか分かりにくい。
モデリング後
顧客・案件・商品・請求などの管理対象と関係性が整理される。人にもAIにも、どの情報を見ればよいか、どこを更新すればよいかが伝わりやすくなる。

BIやダッシュボードとの違い

BIツールやダッシュボードは、数字を見やすくするために役立ちます。ただし、見やすいグラフがあるだけでは、次に何をすればよいかまでは決まりません。

データモデリングは、その手前にある土台です。どの数字が、どの顧客・案件・商品・請求とつながっているのか。異常が出たときに、誰が、何を、どの情報を見て判断するのか。ここまで整理しておくことで、ダッシュボードは「見るだけ」ではなく、次の行動につながるものになります。

1. 集めるExcel、台帳、システム、帳票、メールにある情報を確認する。
2. 名前をそろえる現場で通じる言葉で、顧客・案件・商品などを定義する。
3. 関係を描く何と何がつながっているか、どこで更新されるかを整理する。
4. 行動につなげる確認、通知、下書き、更新、判断の流れへつなげる。

生成AIに任せる前に、なぜ必要なのか

生成AIは文章を作ったり、情報を要約したり、候補を出したりするのが得意です。しかし、会社ごとの業務ルールや判断基準を知らないままでは、もっともらしいけれど実務に合わない答えを出すことがあります。

AIが業務で使えるようになるには、AIに渡す情報の意味が整理されている必要があります。「この金額は税抜きなのか税込みなのか」「このステータスは誰が更新するのか」「未請求と入金待ちはどう違うのか」。こうした意味づけがあるほど、AIは間違いにくくなります。

AIに必要なのは、大量の資料だけではありません。
その資料に出てくる言葉の意味、管理項目、モノやコトの関係性、判断基準です。データモデリングは、AIが業務を理解するための説明書になります。

小さく始めるのが現実的です

最初から全社の情報を完璧に整理しようとすると、ほとんどの場合うまくいきません。まずは「請求漏れを減らしたい」「案件の進捗を見えるようにしたい」「問い合わせ対応をAIで下書きしたい」など、1つのテーマに絞るのが現実的です。

そのテーマに必要な顧客、案件、商品、請求、問い合わせなどを選び、項目と関係性を整理します。使ってみて足りないところを直しながら、少しずつ広げていく。業務で使われるモデルは、一度作って終わりではなく、運用しながら育てていくものです。

データモデリングで変わること

属人化を減らせる担当者の頭の中にある判断やつながりを、他の人にも説明できる形にできます。
システム化しやすくなる何を台帳にし、どの項目を管理し、どこを更新するかが見えるため、要件定義が進めやすくなります。
ダッシュボードが実務につながる数字の変化だけでなく、その裏にある顧客・案件・請求などをたどりやすくなります。
AI活用の精度が上がるAIが参照する情報、作成する情報、担当者が確認するポイントを分けやすくなります。

知式が考える「事業見える化」との関係

知式コンサルティングの事業見える化は、単に業務フロー図を描くことではありません。会社が管理すべきデータを選び、項目を整理し、モノやコトの関係性を明らかにすることで、事業を動かすための設計図をつくることです。

その設計図があるから、事業承継、M&A、属人化の解消、システム化、AI活用の話が具体的になります。見えないものは、引き継げません。関係が分からないものは、仕組みにできません。意味が整理されていない情報は、AIにも扱いにくいのです。

手法のバックボーンを知りたい方へ:
知式の事業見える化を支えるTM手法については、TM手法の技術解説ページ で詳しく説明しています。
データモデリングは、
事業を「人にも、システムにも、AIにも伝わる形」にするための土台です。

Excel・台帳・AI活用の前に、
業務データの関係を整理しませんか?

まずは、いま使っているExcelや台帳から、管理すべき情報と関係性を一緒に整理します。

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