TM Methodology

TM手法で、事業を「モデル図」にします。

帳票・システム画面・Excelから、事業に登場するモノ、発生するコト、関係性、判断基準を読み解き、誰にでも伝わる一枚の構造図に変換する。知式の事業見える化を支える技術的なバックボーンを解説します。

TM手法とは

TM手法は、事業を「モノ」と「コト」の関係として読み解き、現場で実際に使われている帳票・システム画面・Excelから、事業構造をモデル図に落とし込むための分析手法です。

ここでいう「モノ」は、顧客、商品、案件、取引先、社員、資料など、事業の中で識別・管理される対象です。「コト」は、受注、納品、請求、問い合わせ、承認、更新など、時間の中で発生する出来事です。TM手法では、このモノとコトを分け、どのようにつながっているかを整理することで、事業の構造を明らかにします。

このページは、バックボーンを知りたい方向けの手法解説です。
データモデリングをまず平易に理解したい場合は、データモデリングの重要性を読む もあわせてご覧ください。

なぜ「見える化」に技術が必要なのか

「事業を見える化する」と聞くと、売上グラフを作ったり、組織図を描いたりすることを想像されるかもしれません。しかし、それだけでは事業の構造は見えてきません。

たとえば、ある製造業の会社で「受注から納品まで」の流れを聞くと、社長は淀みなく説明してくれます。しかし、その説明には社長自身も気づいていない暗黙の前提が大量に含まれています。「この取引先にはこの価格で」「この商品は必ずセットで出す」「個人客と法人客では管理する情報が違う」——こうした暗黙知は、口頭のヒアリングだけでは構造化できません。

だから私たちは、現場で実際に使われている帳票・システム画面・Excelファイルなどの資料を出発点にします。何を入力して、何を出力しているか——そこに事業の実態が表れているからです。

口頭での説明は記憶に依存する。
帳票やシステム画面は事実を記録している。
だから、現場の資料から読み解く。

事業構造モデリング 7つのステップ

私たちが行う事業分析は、7つのステップで構成されています。帳票やシステム画面といった現場の資料から出発し、段階を踏んで「事業の設計図」を作り上げていきます。

特別なセンスや技術は不要です。正しいルールと手順に従えば、どんな業種の事業でも構造化できます。

フェーズ1:準備——事業の部品を集めて整理する
STEP1

集める——事業の「モノ」を拾い出す

帳票やシステム画面、Excelファイルなどの資料から、項目・ラベル・単語をすべて抜き出します。注文番号、顧客名、商品コード、納品日……。これらが事業を構成する「部品」です。要は「何を入力して何を出力しているか」がわかればよく、業務で使われている言葉をそのまま使い、設計者が勝手に解釈を変えないことが鉄則です。

例:注文画面と納品書から「注文番号」「会員番号」「商品コード」「納品番号」——これらが管理すべき「モノ」の候補になります。
STEP2

分類する——「出来事」と「登場人物」に分ける

集めたモノを「いつ起きたか(時間情報を持つ出来事)」と「それ以外(取引先・商品・社員など)」に分類します。この分類だけで、事業の流れと登場人物が見えてきます。

例:「注文」「納品」は日時があるので出来事。「会員」「商品」は時間に関係なく存在するので登場人物。
STEP3

並べる——時間の流れに沿って配置する

出来事を左から右へ時系列に、登場人物を上下に配置します。これだけで「事業の流れ」が一枚の図として見え始めます。

フェーズ2:関係を描く——事業の「つながり」を明らかにする
STEP4

関係を描く——モノとモノのつながりを線で結ぶ

「1人の顧客が複数の注文をする」「1つの注文に対して1回の納品がある」——こうした関係を4つの基本パターンで描きます。ここで初めて、事業のつながりが構造として可視化されます。

例:顧客と注文は「1対多」、注文と納品は「1対1」。この関係を線で結ぶと、事業の構造——何と何がどう繋がっているか——が一枚の図で表現できます。
STEP5

切断する——意味の違いで分割する

同じ「顧客」でも、個人と法人では管理すべき情報が違います。こうした意味の違いを見つけて適切に分割することで、事業の実態に合った精密な構造になります。

STEP6

多値を整理する——繰り返しの構造を正しく扱う

「1つの注文に複数の商品が含まれる」「1つの商品に複数の価格がある」——こうした繰り返しの構造を正しく整理します。ここを間違えると、データが増えたときに破綻します。

フェーズ3:仕上げ——精度を高め、完成させる
STEP7

意味で整える——最終調整を行う

ここまでの構造をさらに意味の観点で整理し、将来の拡張にも耐えうる形に仕上げます。モデルが現実の業務と一致しているか、事実ベースで検証を行い、完成させます。

重要なのは、このプロセスが一方通行ではないことです。
STEP1からSTEP7まで一度で完成するわけではありません。何度も行き来し、繰り返し検証しながら精度を高めていきます。だからこそ、月1回のセッションを数回重ねるスタイルを採っています。

完成するモデル図——何が見えるようになるのか

BEFORE ― モデリング前
事業の構造が社長の頭の中にしかない。取引や情報の関係が言語化されていない。何が行われているか見通せない。属人化・仕組み化に手がつけられない。
AFTER ― モデリング後
事業全体が一枚の図で俯瞰できる。モノとモノの関係が構造として見える。行われていることが見通せるから、属人化の解消や仕組み化に着手できる。

完成したモデル図は、いわば事業の設計図です。建物に設計図があるように、事業にも設計図があれば、誰が見ても構造がわかります。社長の頭の中にあった暗黙知が形式知に変わった状態——それがこのモデル図です。

この設計図があると、以下のような場面で力を発揮します。

事業承継 後継者に「事業はこういう構造で動いている」と渡せる。暗黙知が形式知になっているから、経験がなくても事業の全体像を理解できる。
M&A・売却 デューデリジェンスで「事業構造を説明してください」と言われたとき、この図一枚で答えられる。
属人化の解消・仕組み化 事業で行われていることが見通せるようになれば、それが属人化の解消や仕組み化の出発点になる。見えないものは仕組みにできない。
補助金・事業計画 事業構造が説明できれば、将来の投資効果も根拠を持って書ける。計画書の説得力が変わる。

なぜ事前に資料が必要なのか

私たちが初回ヒアリングの前に資料をお願いする理由はここにあります。

ヒアリングだけで事業を理解しようとすると、社長の記憶や解釈に依存してしまいます。しかし帳票やシステム画面には、事業の実態がそのまま記録されています。注文画面にどんな項目があるか、納品書にどんな情報が印字されているか、Excelでどんなデータを管理しているか——要は「何を入力して何を出力しているか」がわかれば、それが事業モデルの骨格になります。

だから私たちは、まず資料を拝見して事業モデルの草案を作り、その上でヒアリングに臨みます。「資料だけでは読み取れない部分」を補完するのがヒアリングの役割です。

資料を読んでから会う。
だから初回から、具体的な話ができる。

この技術を学びたい方へ——
事業分析モデリング・コーチング

事業構造モデリングの手法そのものを習得したい方に向けて、コーチング形式のレッスンも提供しています。コンサルタント、士業、企業の経営企画担当者など、自分自身で事業分析を行えるようになりたい方が対象です。

7ステップの技法を体系的に習得 現場の資料からモデル図を完成させるまでの全工程を、実際の事例を使いながらハンズオン形式で学びます。
自社・支援先の事業で実践 教材だけでなく、ご自身の事業や支援先の事業を題材に、事業の見える化を実践します。
分析力が自社の武器になる コンサルティングメニューに「事業見える化」を追加できるようになります。差別化要因として活用可能です。

料金:別途ご相談(内容・回数に応じてお見積りいたします)

事業の「見えていない部分」を
構造として明らかにしませんか?

初回ヒアリング ¥50,000。まずはお気軽にご相談ください。

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