時間単価・人月の提案を受けたら
準委任のシステム開発で総額が見えないとき 発注前に決める6項目
開発会社から「時間単価」「人月」「準委任」で見積もりを受けると、「結局いくらかかるのか分からない」と感じます。まだ決めきれない仕様まで一括請負へ押し込まず、まず次の一区間について、予定額と継続判断日を作ります。
6項目を先に見る先に結論
次の一区間を固定すれば、予定額は読める
準委任でも、契約期間と精算単位をそろえれば、その区間の予定額を計算できます。時間単価なら区間合計の予定時間、人月単価なら区間合計の予定人月を使います。実績で金額が変わるなら、予定額に加えて、上限として合意する金額または追加承認が必要になる金額と、未承認時の停止方法も決めます。
大切なのは、「この金額で全部完成するか」だけを聞くことではありません。「この期間と体制を買い、終了時に何を判断できるようにするか」を決めます。
二つを一緒にしない
契約の種類と、金額の決め方を分ける
契約名だけを変えても、予算の見通しは自動では整いません。何を約束する契約かと、いくらをどの単位で払うかを分けて確認します。
業務を適切に進めることを中心にする
何を作れば目的を達成できるかを調べる区間、試作、優先順位を変えながら進める開発で検討しやすい形です。
一緒に決める:期間 / 体制 / 対象業務 / 報告 / 継続条件定義した仕事の完成を中心にする
完成する範囲と検収方法を、契約前に具体化できる実装で検討しやすい形です。
一緒に決める:完成条件 / 対象外 / 検収 / 変更時の扱い準委任だから予算が無制限になるわけではなく、請負だから途中変更まで追加費用なしになるわけでもありません。 契約名だけで判断せず、実際の条文と進め方を確認します。個別契約の最終確認が必要な場合は、法律専門家へ相談してください。
見積書に足すもの
発注前にそろえる6項目
金額の内訳だけでなく、何を優先し、いつ見直し、続けない場合に何を受け取るかまで、同じ区間について書きます。
- 01
区間と判断日
開始日と終了日を置き、いつ継続・縮小・停止を決めるかを同じ行に書きます。自動で続く前提にしません。
書くこと:開始日 / 終了日 / 次の承認日 - 02
到達状態
「開発を進める」ではなく、終了時に発注者が何を見て、何を判断できるかを書きます。
書くこと:確認する場面 / 判断する人 / 確認方法 - 03
体制・単価・予定稼働
役割ごとに、時間単価か人月単価かを明記し、その区間全体の予定時間または予定人月を並べます。別建て費用も分けます。
書くこと:役割 / 単価の単位 / 区間合計の予定時間・人月 / 別途費用 - 04
優先順位
予算を使い切る前に何から進めるかを決めます。時間が足りなければ次へ送る項目も分けます。
書くこと:最優先の3件 / 後回しにする項目 - 05
支出確認と追加承認
予定額、実績額、残額を同じ日に確認し、上限として合意した額または追加承認が必要になる額を決めます。承認されなければ、未承認の追加作業へ進まず、現状と残作業を報告します。
書くこと:確認日 / 予定額 / 合意上限・追加承認線 / 実績 / 未承認時の動き - 06
延長・停止・引継ぎ
延長を決める期限と、延長しないときに受け取る成果、未完了一覧、設定やソースの所在を決めます。
書くこと:続ける条件 / 止める条件 / 引継ぎ物
空欄のまま発注先へ返せる
見積書の横に、この一枚を置く
見積書に書いていない項目を推測で埋めません。空欄は、そのまま次の打ち合わせで決める項目です。
見積書、提案書、契約書、別紙に分かれていても構いません。6項目が同じ開始日・終了日を指しているかを確認します。
- 01 区間と判断日
- 20XX年__月__日 〜 __月__日 / 次の承認日 __月__日
- 02 到達状態
- 終了時に________________を見て、________________を判断する
- 03 体制・単価・予定稼働
- 役割____________ / 単位(時間・人月)____________
単価____________ / 区間合計の予定稼働____________ - 04 優先順位
- 1.____________ 2.____________ 3.____________ / 次へ送る____________
- 05 支出確認と追加承認
- 確認日__日 / 予定額__円 / 合意上限・追加承認線__円
実績__円 / 残額__円 / 未承認なら____________ - 06 延長・停止・引継ぎ
- 続ける____________ / 止める____________ / 受け取る____________
予定額の記入例
受注管理の試作を6週間だけ進める場合
ここでは、中小企業が受注管理の試作を外部へ依頼し、6週間だけ進める場面を例にします。単価・予定時間・外部サービス費は、予定額の計算方法を説明するために設定したもので、実際の取引条件ではありません。
- 01区間と判断日
- 6週間
終了週に、本番開発へ進むか、対象を縮めるか、止めるかを決める。
- 02到達状態
- 代表的な注文3件を通す
担当者3名が、テスト用注文の登録から納期回答まで操作し、次へ進むか判断できる。
- 03体制・単価・予定稼働
- 時間単価で予定額240万円
PM 1万円 / 時間 × 40時間 = 40万円。開発担当8,000円 / 時間 × 240時間 = 192万円。外部サービス8万円を足し、6週間の予定額は240万円。
- 04優先順位
- 注文取込 → 進捗状態 → 回答予定日
在庫連携は、時間が足りなければ次の区間へ送る。
- 05支出確認と追加承認
- 毎週確認、追加承認線は240万円
240万円を超える見込みが出たら、超過分へ入る前に書面承認を求める。未承認なら合意済みの稼働上限で追加作業を止め、現状と残作業を報告する。
- 06延長・停止・引継ぎ
- 元データ不足、または未承認超過なら止める
止める場合も、試作、確認結果、未完了一覧、設定・ソースの所在、次区間の概算を受け取る。
提案書へ追記してもらう
発注先へ返す5つの質問
- 1
この単価で契約する期間は、いつからいつまでですか。
- 2
役割ごとの単価の単位と、この区間全体の予定時間または予定人月はいくつですか。
- 3
この区間で最優先にする3件と、予算内に入らない場合に後回しにする項目は何ですか。
- 4
予定額・合意上限または追加承認線・実績額・残額を、いつ、どの資料で確認しますか。
- 5
延長しない場合、何を受け取り、どの状態で引き継げますか。
全部を同じ契約へ押し込まない
完成条件を決められる範囲は、請負へ分けて考える
プロジェクト全体を一つの契約名で決めるのではなく、今の区間で何が分かっているかに合わせて考えます。
請負を検討
対象機能、完成条件、検収方法を契約前に具体化できる実装範囲。
準委任を検討
何を作れば目的を達成できるかを調べる区間や、優先順位を変えながら試す区間。
先に作らない選択肢を比較
作業を止める、手順を標準化する、既存サービスを使う、今の道具を連携する方法を先に比べる。
今日、10分で確認する
今日、見積書の空欄を見つける
受け取った見積書の横に、6項目の見出しだけを書いてください。見積書にない項目は推測で埋めず、空欄のまま発注先へ返します。
プロジェクト全体の完璧な総額ではなく、次の一区間にいくら使い、終了時に何を判断し、どの条件なら続けないか。
契約前の確認
よくある質問
準委任契約では、総額を事前に決められませんか?
準委任でも、時間単価なら時間単価と区間合計の予定時間、人月単価なら人月単価と区間合計の予定人月を決めれば、その区間の予定額を計算できます。実績で金額が変わる場合は、上限として合意する金額または追加承認が必要になる金額と、未承認時の停止方法も決めます。個別契約では実際の条文を確認してください。
請負契約にすれば、追加費用は発生しませんか?
請負でも、合意した完成範囲を変える場合や対象外の作業が必要になった場合は、追加費用や期間変更が生じ得ます。完成条件、対象外、変更時の見積もり方法を契約前に確認します。
見積書に人月が書かれていれば、予算判断には十分ですか?
人月だけでなく、その数字が指す期間と役割、優先する作業、予定と実績を確認する日、延長しない場合の引継ぎまで必要です。同じ一枚で確認すると、次の判断日と残る作業を説明しやすくなります。